近畿歯科用品商協同組合

◆ 笑顔のセールスマン  2010-04-19 15:34:21

 脳梗塞の患者は、歯周病に感染している割合が高く、歯周病菌が血液を通じて全身をめぐり、脳梗塞の原因となる動脈硬化を引き起こしている可能性があるという広島大学の研究が4月15日に開催された日本脳卒中学会で発表されました。
 歯周病は30代以上の8割がかかっているとされているだけに事は深刻です。
 5年前に書かせていただいた歯科産業は笑顔産業という記事を思い出しましたのでご紹介させていただきます。

歯科産業は笑顔産業
 最近の景気動向調査による全産業を通じての経営上の問題点順位は、1位が売上、受注不振、2位・人材育成、3位・値下げ要求、4位・過当競争、5位・収益不振となっており、卸、小売業、サービス業は依然低迷を続けています。小売業の最たる百貨店は生き残りをかけ郊外へ、スーパーは市内へと進出し、サービスはお互いを意識し競合が益々激しくなって行く中、お互いの強みを生かした複合店も進出。専門店はより特化し、大型化、超高級化、あるいは超低価格化し、それぞれが生活者のライフスタイルに合わせたストーリーを創造していくなかで階層化し、今まで日本に無かった新しいマーケットを形成しだしています。理性から感性へと消費者の価値観が変化する中、20世紀に見られたような目先のハイイメージ付き大衆商法(疑似高級化)は通用しなくなり、本当のホスピタリティ(おもてなし)一が求められる時代といえます。
 歯科においても、キュアーからケアーへと予防歯科の概念が重要視されていますが、ここで大切なのは予防が最終目的ではなく、消費者のQOL向上にあるということはいうまでもありません。現在日本人の平均寿命は、男性78歳、女性85歳となり、5人に2人が65歳以上という超高齢社会ですが、寝たきり老人はアメリカの約5倍おられ、人口対比では10倍になります。高齢者のQOLを維持、向上させていくためには80歳で20本の歯が必要とされますが、平均9本しか残っていないというのが現状です。寝たきり老人と歯の関係は証明されてはいません。しかし、自分の歯でよく噛んで食べることにより全身の健康が得られ、歯を喪失するとボケが始まる、寝たきりになるなど全身との関係が明らかになってきています。この現状において、生活者の7割が口腔内に何らかの主訴を持っているにもかかわらず実際に歯科医院に通われるのは年間に人口の35%(保健福祉動向調査)と、口腔に対する問題意識が低く健康が大きく阻害されています。実際には、年問で1割程度の人しか治療を受けていないと推察されます。
 一方、歯科医療現場は、生活者の歯科受診率が一定のまま、ここ十数年のうちに歯科医院がコンビニの2・3倍といわれるまで急増、過当競争の様を呈し、新しいサービスを積極的に導入する医院と、依然「待ち」の診療で苦しんでいる医院、あるいは廃業組と分化が起こっています。反面、広告規制が緩和されたとはいえ、ほとんどの人が歯科医院に行きたいがどこにいってよいかわからないという現状があり、このことは利用者側に軸足を置いたサービスが提供されていないことの現われといえます。
 一般産業と同様に、ただ単に歯科医院が専門化、大型化、またはコンビニ化するのでなくどのようなサービスを提供していくのかを明確にする必要があります。インフォームドコンセントにおいても、来院者との物語の共有により生活観の見直しを図り、全人的に対応する内面的なサポートが要求されています。実際、このことにチームで取り組んでいる歯科医院は元気です。
これからは歯科医院で気分も爽快、笑顔で診察を受けられ、『いつまでも元気で、楽しく話し、愉快に笑い、美味しく食べる。』そんな健康を提供して行く医療が望まれています。
しかし、私たち健康産業に従事する企業が必ずしも健康とはいえません。政治、経済、景気が悪いから仕方がない。今までやってこられたからと、どのような病気に罹っているかさえ気づかない企業の生活習慣病に陥ってはいませんか。
 収益が上がらないと企業は存続できませんが、現状の中小企業は借金経営のうえ赤字に追い込まれている死に体といえます。中小企業においては構造変革により業態自体がなくなり廃業または、海外移転を余儀なくされている会社も少なくありませんが、幸い歯科医療は地域に根ざしており、2次卸に関しては無くなる事はないといえます。
 「末達は死にいたる病」という話がありますが、毎月の利益は如何でしょう。健康体とは収益を上げ成長する企業です。対症療法より根本治療、自己革新も必要ですがパラダイムの変化を認識し、あわせて社会構造を変えるような仕組み作りが必要な時期にあると思います。一昔前、組合が株式会社として団結し生き残りをかけたアメリカの例も参考となるでしょう。
 今こそ、原点に立ち返り、会社の目指す方向を明確にし、そこに向かう内発的動機をエネルギーとして会社、業界の力を一つにし、改革を図るチャンスといえます。何のために経営をしているのか、経営者が自己革新の先端を走る必要があるといえます。トップ自らやりがいや生きがいを提供する、笑顔のセールスマンでありたいと思います。
大阪府支部 岩崎昭司
出処 日本歯科用品商協同組合連合会会報 2005年新春号 No113 62ページより